登山はアウトドアの中でもレベルが高いです。
色々な知識や経験を必要とするからです。
ですが、登山の知識さえ身に付けてしまえば、キャンプや海釣りなど他のアウトドアやレジャーに応用できます。
登山が成功に終わるか、それとも黒歴史に変わるか、この分岐点の80%は計画段階にあります。
まず登山の目的を明確にすることです。
「頂上に立つ」という目的なら、最も簡単なルートを選定します。
「高山植物を堪能する」という目的なら、できるだけ素早く難所を潜り抜け目的地に到達できるルートを選定します。
「頂上に到達する」「途中にあるお花畑で高山植物を堪能する」・・・と目的が増えると、どんどん計画が厳しくなります。
登山計画を立てる
山のレベル
登山の準備として、まず登ろうとする山の複数の情報源(インターネットや登山情報誌など)を使用して、山道の状況やコースタイム、適切な登山時期を確認しましょう。
当たり前ですが、山にはレベルがあります。
山の高さだけではなく、コースの状況や季節によっても変わってきます。
本格的な装備が必要だったり、十分に経験を積んだ人間でないと行けないところから、スニーカー程度の装備でも行けるところまで様々です。
山道の状況
主な確認事項は以下の通りです。
- 1.通行可能かどうか
- がけ崩れのため通行禁止だとか、増水期通行禁止になる道があります。
- また、冬場は雪の状況によって通行止めになる道もあります。
- 2.どんな道なのか
- 山道にも色々あります。
- 環境対策として木の板を置いている道、石が転がっている道、泥道、ところどころに鎖場や梯子がある、などをチェックしなければなりません。
- これから行こうとする道で過去にどのような事故が起こっているかなども分かった方が良いですね。
- 3.混雑具合はどうか
- ・よく人が通る道なのか?
- ・1日1回、見知らぬ人とすれ違うかもしれない道なのか?
- ・不人気で誰も通らない道なのか?
- という事も調べておいた方が賢明です。
コースタイム
山道を歩くとどのくらい時間がかかるのか。
これは個人差が大きく何とも言えませんが、登山用の地図を見るとコースタイムが書かれています。
気を付けたいのが、何を基準にしてコースタイムを出しているかです。
例えば、昭文社発行の『山と高原地図』シリーズのコースタイムの基準は以下の通りです。
- 40〜50歳の登山経験者
- 2~5名のパーティー
- 山小屋利用を前提とした装備
- 夏山の晴天時
『山小屋利用を前提』とあるので、テントなどの装備は持たずに歩く、という事になりますね。
そのため、次の様な場合は記載されているコースタイムより時間が掛かる事になります。
- 初心者や子供がパーティに参加している
- 健脚にあまり自信がない
- テント泊の予定で荷物の重量が多い
- ハイシーズンの人気ルートで渋滞が予想される
- 雨天などの悪天候
- パーティの人数が多い
この様な条件が重なるほど、記載されたタイムより余計に時間が掛かると考える必要があります。
ただし、このコースタイムは書籍によってまちまちです。
初心者向けのものでは、長めのコースタイムになっていたりもします。
もし、他人がインターネットにあげているコースタイムを参考にする場合は、体力や経験、装備、季節やパーティなど、出来るだけ自分と似たものを参考にする様にしましょう。
また、コースタイムには休憩時間や身体の疲弊は考慮に入っていません。
距離だけでなく、高低差や道が整備されているかどうかなども疲弊の大きな原因です。
こまめに休憩を取りたい場合は、その時間も加算しなければなりません。
初めての山を登る場合、経験や体力にあまり自信がないようでしたらコースタイムの1.5倍~2倍ほどの時間を見た方がいいでしょう。
SILVA(シルバ) シルバ No.3 Black ECH137
プレートコンパスは登山の必需品ですね。
コンパスの定番、SILVAのスタンダードモデルです。
SILVAのコンパスは、1万円超えは普通、なんと2万円超えのものもありますが、初心者でしたらこのモデルがおすすめ…というか、十分です。
ちなみに、私も同じものを使用しています。
あまり安すぎるものは壊れやすい等ありますし、やはり信頼のおけるメーカーの物がいいですね。
コンパスはスマホのアプリにもありますが、いざというときのため、出来るだけ携帯電話のバッテリーは温存しておきたいですし、
地図に乗せて使用するなら、透明版のコンパスの方が良いですね。
登山同行者を選びましょう
登山人数で登山計画は変わります。
一番体力のない人にスケジュールを合わせる必要があるからです。
「1人で登った方が人間関係を気にしないので楽。」、「3~4人も気の合う人はいない。」などと言っていてはいけません。
以下に単独登山の危険性を記載します。
結論を言うと、最初に登る山は登山者が絶えない有名な山に、3~4人で夏に登るのが適切でしょう。
また、初心者のうちは経験者と一緒に登るようにしましょう。
単独登山、単独行動は避けましょう
どんな登山入門書にも書いてあることですが、単独登山は避けなければいけません。
県警では単独登山者の遭難割合(約30%)を算出し、その危険性を訴えています。
なぜなら、単独で登山中に動けなくなったら、そのまま遭難となってしまうからです。
動けなくなるとは、転んで骨折などの怪我だけではありません。
たとえば、道に迷ったり、急に体調が悪くなったり、登山靴のソールがはがれたり、靴擦れになったりなどなど、危険予知をおこなえばキリがありません。
じつは怖い、2人で登山
あまり知られていませんが、2人での登山時の遭難割合が、結構高いのです。
丸山晴弘著「遭難のしかた教えます」によれば、2人での登山時の遭難確率は単独登山と同等なのです。
よく考えてみてください。
1人が山で体調が悪くなり動けなくなったとして、もう1人の人は何ができるのでしょうか。
トレーニングを積んだレスキュー隊員は別として、1人の人間を助けるためには2人必要なのです。
また、動けなくなった一人を置いて助けを呼ぶにしても、その間は単独登山と同じ状況になってしまいます。
服装・登山靴
服装
登山やマラソンなどの発汗を伴う運動をする際、綿でできた服装は避けます。主に化繊を選びましょう。
最近は速乾性や無臭速乾性素材などがでてきています。
また、金銭的に余裕のある人はウールでもいいです。
化繊の服を着てみてください。涼しいと感じるはずです。
綿は汗を吸収してくれるのはいいのですが、
- 汗を吸収し重量が重くなる。
- 休憩中に服の温度が冷えるため身体から余計な熱を奪い、体力が無駄に消費される。
という理由で登山では避けます。
この辺りはキャンプの記事でも書いていますね。
また、泥が綿の服に着いた場合、洗っても落ちません。
登山中は体温が上昇するので、冬でも基本、シャツ1枚です。
登山の場合、半袖半ズボンだと手足に傷ができたり虫に刺されたりするので長袖長ズボンです。休憩時に寒くなると上着を着ます。
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登山靴
スニーカーとの違い
登山靴はゴムが固く頑丈に作られています。
スニーカーと比べると伸縮性が犠牲になっていますが、石がゴロゴロと転がっている山道を歩くときは、ゴムが擦り減らないので長持ちします。
どのくらい丈夫なのでしょうか。
普通のスニーカーだと標高3000m級の山を登って降りることができません。
途中で靴底のゴムが摩耗してしまったり、ソールがはがれたりします。
それに比べて登山靴は毎週登った場合でも1年は持ちます。
どんな登山靴がいい?
これから山登りを始める方は、ハイカットの軽量トレッキング・シューズを購入したほうがいいでしょう。
ハイカットは足首全体を靴が保護します。石が転がってきて足に当たっても、あまり痛くありません。
また、足が疲れてくると力が入らず足首がぐらぐらしてしまい、しっかり歩けなくなったり転びやすくなったりします。
その足首をサポートするという意味でも、ハイカットのトレッキングシューズをおすすめします。
軽量というのは、読んで字のごとく軽く作られているということです。
普通の登山靴は、冬場の使用も考慮して厚手の生地で作られています。すると重いのです。
また、岩場専用の登山靴は足がふらつかないように、あえて重く作られています。
当たり前ですが、重い靴は疲れるのです。
他にも沢靴やローカット・トレイルラン用シューズ等がありますが、のんびりと山歩きを楽しむための物ではありません。
登山靴選びのポイント
靴選びで問題となるのが靴擦れです。
靴擦れを起こしたらすぐに下山するのが鉄則ですから、靴選びは慎重になります。
靴を売っている場所では必ず30分くらい試着してください。
登山靴を選ぶ時のポイントは、次の3点です。
- 足の横幅があっているか。
- かかとがしっかり固定されているか。
- つま先に余裕があるか。
固定されすぎも靴擦れの原因になるので困りますが、多くの場合、運動中に足と靴が数ミリ単位で擦れることにより火傷のようになることを靴擦れと呼んでいます。
靴と足が擦れてしまうのが原因なのです。
きちんとフィットした靴は、ならし等をおこなわなくても靴擦れにはなりません。
今は技術が進んでいるため、アウトドアメーカーの物であれば、余程の難所に登る以外は機能の差はそれほど気にする必要はありません。
何より重要なのは『自分の足に合うかどうか』なのです。
登山計画書の提出
※この登山計画書は、公益社団法人 日本山岳協会HP よりダウンロードできます。
最後に登山計画書の提出について記します。
あなたの知人が行方不明になった時、あなたはどこを探しますか?
「登山に行く。」と言っていたら、どの山に行ったのか、誰かに聞きまくるのではないでしょうか。
どの山に登ったのかがわからないのなら探しようがありません。
このようなことを避けるために登山計画書を提出するのです。
提出先は、どこでも構いません。
帰宅予定時間が過ぎても帰ってこなかった場合、探してもらうために提出するのです。
まとめ
山の選定から装備まで駆け足で説明してきましたが、ザックの選び方、ヘッドライト、方位磁石と地図などなど、必要な知識はまだまだあります。
のんびりと安全に山歩きを楽しむためには、それなりの知識が必要なのです。
下調べはネットでも良いですが、もし、購入する際に迷った場合はアウトドアショップの店員さんに相談する方が確実だと思います。
特に靴は万人にフィットするものはありません。
口コミで最高なものが自分に合うとは限らないので、自分の足型、使用目的、季節…等々を伝えて、総合的に判断していただくのが良いと思います。
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